作品を形にするとき、私はいわゆるデッサンをしません。
文章や詩など文字によってデッサンの様なものをしています。
個展ごとに文章と作品をあわせた作品集を作るようになりました。
一つ一つ作品の写真も撮っています。
画像をクリックすると内容をphtobackのページで見ることができます。
「朔をハコに入れる」
ハコをなくす
反古にした約束や
拾い損ねた子猫の目の色
暮れていく空は
なくしたものを
蒼く晒して
夜になっていく
「daiary」
6/2
青い空のような服をかう。
8/18
人のいい笑顔が時々苦しくなるのだと
別れ際にいいかけて飲み込んだ。
後悔するのがこわくて。
10/1
どうしてもみつからなかった
鍵がでてくる。
コートのポケットから。
もうつかうことはない。
「夢と現の岸辺から」
深い森をぬけると、彼は静かにそこにたたずんでいた。
その森の色を吸い込んだような瞳を向けて私に言った。
「やっと会えましたね。」と。
目が覚めて、ぼんやりしたまま散歩に出ると
子猫が捨てられているのを見つけた。
彼と同じ瞳の色の小さな小さな子猫を私は抱き上げた。
私はその後、愛情深い彼と長い時間を過ごすことになった。
「そこはいつもすこし風が吹いている」
鳴く鳥の 名前は知らない
ここに咲く 小さな赤い花の名も
手を繫いだ その日
はじめて
あなたの 名前を聞いた
温かかった
「灯り守のはなし」
森に
石を一つ放ち
旅に出る
またここに
帰るため